曲のタイトルをつけるときに考えていること


こんにちは、poco moonです。
今日のテーマは「曲のタイトルをつけるときに考えていること」です。

曲のタイトルを付けることは、音楽制作の中で非常に重要であり、同時に難しい工程でもあります。曲の世界観を短い言葉に凝縮する必要があるからです。タイトルは単なる名前ではなく、リスナーにとっての“ファーストインプレッション”であり、曲そのものの雰囲気や情景を伝える役割を持っています。

私自身は、曲の制作途中ではタイトルを決めず、音がすべて完成した段階でつけることが多いです。完成した音を聴きながら、「この曲はどんな光景を描いているのか」「どんな感情を込めたのか」を考え、それを言葉で表現するようにしています。

最近では、シャッフル再生などでリスナーが曲を聴く順番がランダムになり、タイトルよりも先に音楽が耳に入ることも増えました。それでもタイトルは、リスナーが曲に出会う最初の窓口であり、曲の世界へ誘う重要な要素だと考えています。


和の情景をローマ字で表現する

和風の曲を制作する際、私は日本語の言葉をローマ字表記でタイトルにすることが多いです。
例えば「Kusamoe」や「Natsuake」など、季節や自然を感じる言葉を選ぶことで、曲に込めた情景や感情を伝えます。

日本語の独特な響きや余韻は、英語や他の言語にはない情緒を持っています。また、私の曲は海外のリスナーにも聴かれているため、ローマ字表記にすることで外国の方がタイトルを見て「この言葉はどんな意味だろう?」と興味を持ってくれることもあります。
こうして音楽を通じて日本文化や言葉に触れるきっかけを作れるのは、とても嬉しい瞬間です。


言葉の意味と響きの心地よさを両立する

タイトルを考えるときに重視しているのは、言葉の意味だけでなく、発音したときの響きの心地よさです。私の音楽は和風やアンビエント、エレクトロニカなど、静けさや余白を大切にしています。そのため、タイトルにも音の“余韻”を感じられる言葉を選ぶようにしています。

具体的には、「光」「風」「昼」「夜」といった自然や情景に関わる言葉を好んで使います。タイトルを見ただけで、空気の色や光のやわらかさ、風の温度まで思い浮かぶような、一言で世界観を伝えられる表現を探します。

また、言葉の響きが曲調やジャンルと合っているかも意識します。ピアノ中心の静かな曲には柔らかく滑らかな響きのタイトル、アップテンポな曲にはリズム感のある短めの言葉、などです。文字のリズムと音楽のリズムが自然に調和すると、曲全体の印象がさらに豊かになります。


行き詰まったときの発想法

タイトルがなかなか決まらないときもあります。その場合は、自然や古語、和言葉の本を開き、ページをめくりながら言葉を探すことがあります。日常で使わない美しい表現や珍しい言い回しに触れるだけでも、新しい発想が生まれることがあります。

また、季節ごとの匂いや音、空の色、風の感触などをメモしておくのもおすすめです。言葉を探すというより、景色を拾い集めるような感覚で行うと、音と自然に結びついたタイトルが浮かびやすくなります。制作中の音を聴きながら、メモの中からぴったりの言葉を組み合わせると、曲に合ったタイトルを自然に見つけられます。


まとめ:タイトルは音楽の一部

私にとってタイトルは、音楽の“外側”にあるものではなく、音の一部です。曲を聴く前から物語を伝える“入口”であり、曲の世界にそっと誘う最初の音のような存在です。タイトルを決めることで、曲に“言葉の灯り”をともすことができ、音楽はより深く、遠くへと届いていきます。

曲の完成後、タイトルをつける作業は、音の余韻や景色を言葉に変換する重要な時間。丁寧に選ぶことで、曲の魅力をより多くの人に伝えられるのです。

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