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10月, 2025の投稿を表示しています

曲作りがマンネリ化したときに試したい、アイデアを広げる5つの方法

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長く曲を作っていると、どうしても似たフレーズやコード進行ばかりになってしまうことがあります。いわゆる「マンネリ化」です。自分では「もっと新しいことをやりたい」と思っても、つい安心できるパターンに頼ってしまうものですよね。 しかし、マンネリは決して悪いことではありません。むしろ、自分自身が持っているパターンを見直し、「次の一歩」を考えるきっかけになります。特に、アンビエントやエレクトロニカを手がける方にとって、少しの変化が作品の世界観を大きく変えることがあります。 この記事では、私自身が実践してきた 5つの具体的な方法 を紹介します。短時間で取り入れられる工夫なので、次の曲制作にぜひご活用ください。 1. 使い慣れたコード進行に安心しすぎない 長年作曲をしていると、どうしても馴染みのコード進行に頼りがちです。例えば、自分の場合「Am‑F‑C‑G」をベースに曲を構築することが多く、安心できる反面、類似した雰囲気の楽曲が並んでしまうことがありました。 解決策 他ジャンルをコピーしてアレンジ スケールを変えてみる(ペンタトニック→フリジアン、ドリアンなど) 転調のタイミングを意図的にずらす(例:8小節目で+2半音、ドラムだけ先に変化) 少しの変化でも、インパクトのある響きに変わります。「使ったことのないコード進行×2」をまず1曲だけ試してみるのがおすすめです。 2. 喫茶店や外で作業してみる 自宅やいつもの作業場所では、どうしても同じパターンに偏りがちです。 外の環境で作業することは、新しい刺激を得る有効な方法です。 実践例 BGMのあるカフェで、普段作らないリズムやコード進行を試す 雨音や街のざわめきを録音して曲に取り入れる 制限時間30分で直感的にフレーズを作る 外の環境は偶然のアイデアを生みやすく、マンネリ打破に効果的です。 3. 本やネットで積極的に調べる 使い慣れたフレーズに頼りすぎると、新しい表現は出にくくなります。他の作曲家やジャンルの情報を取り入れましょう。 具体例 YouTubeでコード進行や作曲解説をチェック 作曲関連のブログや書籍でアイデアをメモ サンプルパックやDAWプリセットで普段使わない音色を試す 情報はそのままコピーせず、自分の曲に合う形でアレンジすると価値が高まります。 4. 制作...

音楽を長く続けるために、私が大切にしている3つのこと

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  曲を作っていると、「うまくできない」「続ける意味があるのかな」と感じる瞬間が、誰にでもあると思います。私も例外ではありません。制作が止まってしまったり、思うような結果が出なかったり、SNSで他の人の活動を見て落ち込むこともあります。 それでも、音楽をやめなかったのは、「音を作る時間」そのものが、私にとってかけがえのないものだからです。 今日は、そんな私が音楽を長く続けるうえで大切にしている 3つのこと をお話しします。 1. リラックスした状態で作る リラックスした状態で作った曲の方が、なぜか周りの反応も良いことが多いです。あんまり気合を入れすぎず、心の向きに沿って音を重ねていく方が、自分には合っているように感じます。 「できたらグッド。できなくてもいい。」そんな気持ちを保つことが、実はとても大事です。たとえば、私の曲「Hoshikage -星影-」では、「自分自身を癒す曲を書きたいな」と思って作り始めたとき、ふと「星」をテーマにしようと決めた瞬間、音色選びがすっと決まりました。テーマが見えた途端、迷っていた要素が自然と整理されていったのです。 作曲は、気合よりも“心の状態”で結果が変わる不思議な作業です。クリエイティブな流れは強制されるものではなく、ふとした気づきの中で生まれることが多いのです。だからこそ、肩の力を抜いて、音に身を委ねることを大切にしています。 実践ポイント: 週に1回、自宅ではない場所(カフェ・公園など)で作業してみる 制作前に「5分間だけ深呼吸」して頭をクリアにする 作業時間を「1時間以内」に制限して、だらだらせずに打ち込む 2. 音楽以外の「好き」を見つける 実際に作業するのはデスクの上ですが、それだけでは曲作りはなかなかうまくいきません。長く続けていると、机に向かっている時間よりも、「音楽から離れている時間」のほうが大切に思える瞬間が増えてきました。 読書や散歩、旅に出ること。あるいは、いつもと違う場所でコーヒーを飲むこと。そんな普段とは少し違うアクションから、思わぬインスピレーションをもらえることがあります。私の場合は、コーヒーを淹れる時間がとても穏やかで好きです。豆を挽く音や、お湯を注ぐときの香りの変化を感じていると、頭の中が少しずつリセットされていく。その感覚が、気づけば音作りのリズムにもつながってい...

季節とともに音を紡ぐ

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こんにちは、poco moonです。今日のテーマは「季節とともに音を紡ぐ」です。季節から感じるインスピレーションは、私の楽曲制作においてとても大切な要素になっています。自然の変化を五感で受け取り、それを音に変換していく喜び。今日は、春・夏・秋・冬とそれぞれの季節が与えてくれる音のヒントを振り返りながら、制作する上での実践的な視点も加えてお届けします。 春 ─ 柔らかく、芽吹くような音を 春になると、空気の中にほんのりとした温かさが戻り、草木の色も少しずつ明るくなります。私の中では、和楽器の音色がこの季節にとても似合うと感じています。特に琴の明るく澄んだ音色は、春の日差しのように軽やかで、心をすっと開いてくれるような感覚があります。 制作として考えると、メロディには長調を使うことが多く、軽やかなストリングスやベル系の音を重ねると、優しい春の風景が自然と浮かび上がってきます。 実践ポイント: 和楽器(琴・尺八・三味線)の音源をDAWに読み込み、長調中心でストリングスと組ませてみる。 鳥のさえずりや草の芽吹きの音をフィールドレコーディングして、パッドやシンセのアンビエンスに変化を加える。 曲構成を「静→少しずつ広がる」にすることで、春の“芽生え”をストーリーとして表現する。 春は「始まり」の季節。音も、まだ軽さと透明感を帯びています。制作前に短時間「窓を開けて外の空気を吸う」だけでも、曲に晴れやかな息吹を与えることができます。 夏 ─ 生命の息づかいをリズムで描く 夏は、エネルギーに満ちた季節です。木々の緑が濃くなり、川や海の音も力強く響きます。この季節の音楽には、ビートを少し強めにすることが多いです。自然の中で聴こえるリズム、波の周期、蝉の鳴き声、風が木々を揺らす音、それらを音楽的なパターンとして心に刻んでおくと、ドラムやパーカッションのフレーズに反映されていきます。 制作としては、ややアップテンポに設定し、スネアやハイハットの配置を音数多め・鮮明な定位で設計します。音色選びでも、アナログ系シンセや生ドラムループを使うことで「生命感のある揺らぎ」を作り出せます。 実践ポイント: 近所の川辺や海岸でスマホ録音:波の音・風の音・蝉の声など → リズム素材として活用。 ベースラインに「16分+休符」などの変化を付けて、“生きている感”を演出。...

フィールドレコーディングの魅力 ― 風や波が教えてくれる“音の時間”

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こんにちは、poco moonです。今日のテーマは「フィールドレコーディングの魅力」。私の楽曲の中には、波のさざめきや鳥のさえずり、風が木々を抜ける音など、“環境音”がそっと混ざっています。アンビエントやエレクトロニカを制作する中で、こうした音は「メロディやリズム」と同じくらい大切な要素になっています。 制作スタジオの静けさでは捉えきれない「場の空気」や「時間の経過」――私はそれらを音楽へ閉じ込めたいと思っています。旅先でマイクを向けたとき、録音機のLEDが光るたびに、耳の奥で何かが目を覚ます感覚があります。 今日は、私がフィールドレコーディングを通じて感じてきたことと、実践のヒントをお届けします。 どんな音を録るのが好きか 旅先では、ぐっと耳を澄ませたくなる瞬間があります。岩に波が当たる音、風が森を抜ける音、川が穏やかに流れる音──。そんな“風景の中の音”を見つけたとき、録音機をそっと取り出します。 海辺でマイクを構えたとき、砂上を歩く足音や遠くのカモメの鳴き声まで聴こえてくることがあります。そのたびに“この音がどう曲に化けるか?”という想像がふくらみます。 録音という行為は、ただ音を記録することではなく、「その場所の時間と空気を切り取る」旅のようなものです。 実践ポイント: 自宅から30分以内の自然スポットを1つ見つけ、スマホや録音機を持って出かける。 音が穏やかな朝や夕暮れに録音を試す。人の声や雑音が少ない環境は“クリアな空気感”を得やすい。 録った音をタイトル/日付付きでフォルダ管理する。「どこで何を録ったか」が作品制作時のアイデア源になる。 フィールドレコーディングの工夫 録音には、私は ZOOM H4n と H1n の2種類を使っています。以前はH4nでしっかり録ることが多かったですが、最近は一眼レフで写真も撮るため「機材を軽くしたい」という思いからH1nを使うことが増えました。 いちばん難しいのは「人の声が入らない環境を見つける」ことです。人通りの少ない時間帯や場所を探し、静けさが訪れた瞬間を待ってマイクをセットします。5〜10分ほど録っても、風の向きが変わったり、車の音が入ったりして理想の音にならないことも多々あります。それでも、うまくいった録音には「その場所の空気」がまるごと写っているようで嬉しくなります。 実践ポイント: ...

曲の構成を考えるときに意識していること ― 音の物語を紡ぐ

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こんにちは、poco moonです。 今日のテーマは「曲の構成を考えるときに意識していること」です。 私は曲を作るとき、最初の段階では全体の構成まで深く考えません。まずはピアノやシンセでメロディやモチーフ、コード進行をスケッチのように描き、音の断片を集めていきます。そこから少しずつ、「この曲はどんな風景を描きたいのか」「どんな流れで聴かせたいのか」が見えてきます。 構成を考え始めるのは、その“音のかけら”が形になり、曲の全体像が頭の中で少しずつ立ち上がったタイミングです。イントロからアウトロまでの組み立て方で、曲の印象は大きく変わります。メロディや音色の選び方と同じくらい、構成は音楽の“ストーリーテリング”に深く関わる大切な要素だと思っています。 イントロはシンプルに、でも印象的に イントロはその曲の“第一印象”です。ここで聴く人の興味を引けるかどうかで、最後まで聴いてもらえるかが決まることもあります。私はできるだけ長くならないように意識しています。ピアノのコードだけで始めたり、4つ打ちのハイハットやバスドラのリズムだけで空気感を作ることもあります。 大切なのは、最初の数秒で「おっ」と思ってもらえること。派手さではなく、“これから何かが始まりそう”という期待感を作ることです。音を詰め込みすぎず、空白を活かしたイントロにすることで、聴き手の想像力を引き出せます。 実践ポイント イントロは30秒以内を目安に短くまとめる 最初の和音やリズムで曲の雰囲気を象徴させる 空白を残すことで、次に入るメロディがより引き立つ 足すだけでなく“引く”構成の魅力 多くの曲では展開に合わせて楽器やハーモニーを重ねます。私もその方法はよく使いますが、最近は“引く構成”にも魅力を感じています。 例えば、1回目の展開が終わったタイミングでベースを抜いてみると、音の厚みが一瞬消え、メロディが浮かび上がって聴こえます。その後で再びベースやパッドを加えると、同じ構成でも新鮮な印象が生まれます。 音を足すのは簡単ですが、引くことには勇気がいります。しかし、その“間”にこそ音楽の深みや余白が生まれるのです。特にアンビエントやエレクトロニカでは、静と動のバランスを意識することが、曲の魅力を左右します。 実践ポイント 展開の途中であえて一部の楽器を抜く ...

曲ができないときに考えていること ― 焦らず音と向き合う

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こんにちは、poco moonです。 今日のテーマは「曲ができないときに考えていること」です。 作曲を続けていると、曲がスムーズに生まれるときもあれば、なかなか形にならないときもあります。これは音楽に限らず、絵を描く人や文章を書く人、何かを創作するすべての人に共通することかもしれません。 「作れない」時期には、決して才能が失われたわけではなく、ただインプットが不足していることが多いと私は感じています。 休むことも大切な制作の一部 作曲を続けていく中で、私は「休むことの重要性」を実感しました。机に向かってひたすら音を重ねるだけでは、感覚が徐々に鈍ってしまいます。 そんなときはあえて音楽から離れることが大切です。犬と散歩をしたり、家族とゆっくり話したり、本を読んだり映画を観たり、旅に出ることもあります。 こうした時間の中で、ふとした瞬間に「音」が戻ってくることがあります。五感で受け取ったものが、知らないうちに心の中で音楽として結晶していくのです。 実践ポイント 作曲がうまくいかないときは一日数時間だけでも完全に休む 五感を使った体験を意識的に取り入れる 焦らず、心に余白を作ることで新しいアイデアが生まれやすくなる インプットを別の形でアウトプットする インプットしたことをただ心に留めておくのではなく、何か形にして外に出すこともクリエイティブな循環のひとつです。 私の場合、ブログを書くこと自体がアウトプットとなり、音楽に向かう感覚を整理する助けになっています。また、旅先で環境音をハンディレコーダーで収録するのも好きです。波の音、風の音、鳥の声などを録音していると、自然のリズムや音の重なりを感じ、自分の音楽の種が少しずつ育っていることを実感します。 実践ポイント 日々の経験や出会いを短いメモや文章で記録する 環境音や日常の音を録音して後で音楽制作に活かす インプットをアウトプットに変換する習慣を作る 焦りを感じたときに思い出すこと SNSでは他のミュージシャンが毎日のように新曲を発信しています。その流れに焦って「自分も何か出さなきゃ」と思うこともあります。しかし、そんなときこそ立ち止まって、「自分の音楽を誰に届けたいのか」を考えます。 私の場合、一番に思い浮かぶのは身近な人たちです。家族や応援し...

BGMに使う音選びのコツ ― 聴き手の心に響く音を作る

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こんにちは、poco moonです。 今日のテーマは「BGMに使う音選びのコツ」です。 DTMでは、打ち込み技術や演奏の正確さももちろん重要ですが、実は「音色選び」が作品の印象を大きく左右します。どんな音を選ぶかによって、音楽の質(クオリティ)が変わり、同じメロディでもまったく異なる雰囲気を持たせることができます。 メロディを引き立てる音の組み合わせ 私の場合、メロディはピアノで作ることが多いですが、時にはベル系のサウンドを重ねることもあります。ピアノだけでは他の楽器に埋もれやすい場合もあるため、グロッケンをうっすら混ぜることで音の輪郭をはっきりさせ、煌めきを加えることができます。 このように、ほんの少し高域に煌めきを足すだけで、曲全体の聴こえ方がぐっと洗練され、印象が変わります。聴き手の耳に残る“透明感”や“明るさ”を意識することがポイントです。 実践ポイント メインの楽器に補助音を加えて立体感を作る 高域の煌めきは控えめに入れることで自然な印象 音が重なったときの輪郭を意識して配置する 音の硬さ・柔らかさでジャンルを表現する 音の「硬さ」や「柔らかさ」は、その曲のジャンルや雰囲気を決める重要な要素です。 コーポレート系BGM クリーンで硬めの音を使うと、サウンドが引き締まり、落ち着いたクールな印象を与えます。ビジネス向けや安心感を出したい場面に適しています。 アンビエント系BGM 柔らかいパッドやアタックの穏やかな音を中心にすると、空気のように優しい雰囲気が作れます。リラックスや癒しを目的としたBGMに向いています。 曲の世界観に合わせて音の“質感”を意識して選ぶことが、完成度の高いBGM制作には欠かせません。 実践ポイント ジャンルごとに基準となる音色を決めておく メインの楽器とサブ楽器で硬さ・柔らかさを調整する 曲全体の統一感を損なわない範囲で質感を微調整 帯域バランスで音を整える 音の周波数帯域が重なりすぎると、全体が膨らんで聴き取りづらくなります。私は主張したい音と支える音の帯域を意識的に分けるようにしています。 例えば、 メロディは明るめの高域寄りに パッドは中域を中心に ベースは低域を丸く置く このように配置すると、自然な立体感が生まれ、各楽器の存在感がはっきりします。帯...

BGMを作るときに意識している“聴かせない音楽”

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こんにちは、poco moonです。 今日のテーマは「BGMを作るときに意識している“聴かせない音楽”」です。 音楽というと「人に聴かせるもの」というイメージが強いかもしれません。しかし、BGM(バックグラウンドミュージック)では、むしろ“聴かせすぎない”ことが非常に大切です。音楽が主役になりすぎると、場の空気や映像、体験そのものの印象を壊してしまうことがあります。 BGMはあくまで脇役。映像作品であれば映像が主役、カフェやショップでは空間やお客さんの体験が主役です。音楽はそれを引き立てる役割を担う、これがBGMの本質だと私は考えています。 最近は特に、映像と連動したBGMの需要が増えています。カフェ、レストラン、ギャラリー、アパレルショップ、美容室など、様々な空間の雰囲気に合わせた音が求められるようになっています。音楽が主張しすぎると空間の印象が壊れるため、「聴かせない音楽」を意識することが重要です。 メロディは“語りすぎない” BGM制作で最も重要な要素のひとつは“メロディ”です。歌もののように強く主張するメロディを入れると、聴く人の意識が音楽の方へ向きすぎてしまいます。 私は、メロディをできるだけ詰め込みすぎず、音と音の“間”に余白を残すようにしています。この間隔が、空間を流れるような感覚を生み、自然に聴き手の意識を空間に向けることができます。 代わりに、コード進行で物語や情緒を表現することを意識します。セブンスコードやテンションコードを使い、さりげなく感情をにじませる。派手な展開ではなく、空間と調和する控えめなメロディが、美しく響くと感じています。 実践ポイント メロディの音数を抑えて余白を作る コードで感情を表現し、メロディは控えめに 空間に合わせたテンポとリズム感を意識する 空間をデザインする音作り BGM制作では、リバーブやディレイの活用も欠かせません。これらのエフェクトを使うことで、音に“居場所”が生まれ、曲に立体感や奥行きが加わります。 私は曲ごとにリバーブの深さを意識的に変えています。たとえば静かな夜のシーンを想像した曲では、リバーブを広げて奥行きを出し、ディレイを少し長めに設定して音の余韻を大切にします。こうすることで、音に余裕が生まれ、聴く人が自然とリラックスできる環境を作れます。まるで音そのものが“呼吸”しているかのよ...

曲のタイトルをつけるときに考えていること

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こんにちは、poco moonです。 今日のテーマは「曲のタイトルをつけるときに考えていること」です。 曲のタイトルを付けることは、音楽制作の中で非常に重要であり、同時に難しい工程でもあります。曲の世界観を短い言葉に凝縮する必要があるからです。タイトルは単なる名前ではなく、リスナーにとっての“ファーストインプレッション”であり、曲そのものの雰囲気や情景を伝える役割を持っています。 私自身は、曲の制作途中ではタイトルを決めず、音がすべて完成した段階でつけることが多いです。完成した音を聴きながら、「この曲はどんな光景を描いているのか」「どんな感情を込めたのか」を考え、それを言葉で表現するようにしています。 最近では、シャッフル再生などでリスナーが曲を聴く順番がランダムになり、タイトルよりも先に音楽が耳に入ることも増えました。それでもタイトルは、リスナーが曲に出会う最初の窓口であり、曲の世界へ誘う重要な要素だと考えています。 和の情景をローマ字で表現する 和風の曲を制作する際、私は日本語の言葉をローマ字表記でタイトルにすることが多いです。 例えば「Kusamoe」や「Natsuake」など、季節や自然を感じる言葉を選ぶことで、曲に込めた情景や感情を伝えます。 日本語の独特な響きや余韻は、英語や他の言語にはない情緒を持っています。また、私の曲は海外のリスナーにも聴かれているため、ローマ字表記にすることで外国の方がタイトルを見て「この言葉はどんな意味だろう?」と興味を持ってくれることもあります。 こうして音楽を通じて日本文化や言葉に触れるきっかけを作れるのは、とても嬉しい瞬間です。 言葉の意味と響きの心地よさを両立する タイトルを考えるときに重視しているのは、言葉の意味だけでなく、発音したときの響きの心地よさです。私の音楽は和風やアンビエント、エレクトロニカなど、静けさや余白を大切にしています。そのため、タイトルにも音の“余韻”を感じられる言葉を選ぶようにしています。 具体的には、「光」「風」「昼」「夜」といった自然や情景に関わる言葉を好んで使います。タイトルを見ただけで、空気の色や光のやわらかさ、風の温度まで思い浮かぶような、一言で世界観を伝えられる表現を探します。 また、言葉の響きが曲調やジャンルと合っているかも意識します。ピアノ中心の静かな曲には柔らかく滑らかな響...

作曲家のアイディアが枯渇しないために大切にしていること

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こんにちは、poco moonです。 今日のテーマは「作曲家のアイディアが枯渇しないために大切にしていること」です。 メロディやアレンジのアイディアがなかなか出ない時期は、作曲家であれば誰にでも訪れるものです。特にストックミュージック(BGM)を多く制作していると、「あれ、このメロディ、前の曲と似ているな」と感じることがあります。自分の中で自然と形成されている“好きなメロディの上下の流れ”やアレンジの傾向を無意識に繰り返してしまうのです。これがいわゆる「マンネリ」です。 マンネリに陥ると、曲作りの楽しさも薄れがちですが、少し工夫するだけで創作の流れを取り戻せます。 日々の行動に小さな変化を取り入れる アイディアが枯渇しそうなとき、私は音楽面だけでなく、日常生活のルーティンを少し変えてみます。 例えば、朝のコーヒーを飲む場所を変える、散歩のルートを少し変える、普段行かないカフェで作業してみる――ほんの小さな変化でも、気分や感覚をリセットするきっかけになります。 日常の習慣は創造のリズムを生む一方で、固定化されすぎると発想の通り道が狭くなることがあります。だからこそ、違う角度から世界を見てみることが、作曲家にとっての栄養になるのです。 他の音楽や自然から刺激を受ける もうひとつ大切なのは、他のアーティストの音楽を聴き、分析することです。好きな曲のコード進行を打ち込んでみたり、展開の仕方を学んだりすると、自分では思いつかなかったアイディアが生まれることがあります。これは音楽理論の勉強というより、“耳を育てる練習”に近い感覚です。 さらに、音楽以外のインプットも重要です。近所の公園を散歩したり、少し遠くに出かけて旅をしたりすることで、光や風、空気の匂いなど五感を通して情報を取り込むことができます。その感覚が、無意識のうちに曲作りに反映されるのです。 誰かと話すことも大きなヒントになります。パートナーや友人との日常会話から、言葉や感情のやり取りが曲のモチーフになることも少なくありません。創作にとって、人とのつながりは大きな意味を持っています。 1日10分でも音と向き合う アイディアが出ないときほど、完全に音楽から離れないことが大切です。 たとえ10分でも、音を聴いたり、シンセや楽器に触れたり、コードを弾いてみたりするだけで、音楽とのリズムを保...

朝活で作曲習慣をつくる方法

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こんにちは、poco moonです。 今日のテーマは「朝活で作曲習慣をつくる方法」です。 朝はクリアな頭で音に向き合える時間 朝の時間帯は、不思議と頭がクリアになり、音楽のアイディアが次々と浮かんでくることがあります。外の音や環境音がまだ少なく、静かな空気の中で机に向かうと、自然と集中度が高まるのです。 夜の作業も好きですが、朝にしか得られない感覚があります。冷たい空気、少しずつ明るくなる空、その変化を感じながら作曲する時間は、心のリズムを整える大切な習慣になっています。 制作習慣の具体的なルーティン 私の朝活ルーティンは、小さな準備から始まります。 水筒に水とレモン果汁を加えて水分を準備 一口チョコを2つ用意 お湯を沸かしてスティックコーヒーを淹れる 窓から朝の光と天気を確認 PCとLogic Proを立ち上げる この段階では、メールチェックやSNSは基本的に行いません。余計な情報を頭に入れず、音楽にまっすぐ向き合うためです。 制作時間はおおよそ1時間半から2時間。最初にコード進行を作り、その上でメロディを探していきます。断片的に浮かぶメロディを少しずつ形にしていく過程が、とても楽しい時間です。外の音が増え始める頃に一区切りをつけ、朝食をとるのが日課です。 集中法と心の整え方 制作前には、深呼吸をして呼吸を整えることを意識しています。短い時間でも心を静めるだけで、音がより鮮明に聴こえるように感じます。 最近は軽い運動やストレッチも取り入れようと考えています。朝の体は目覚めに時間がかかりますが、身体を動かすことで頭もすっきりし、音の響き方やアイディアの出方にも良い影響が出そうです。 続けるための心構え 朝活で作曲を続ける上で大切にしているのは、「毎回完璧なメロディを作らなければ」というプレッシャーをかけないことです。義務感や焦りが先に立つと、創作が重くなってしまいます。 メロディが浮かばなくても、朝の音楽時間そのものを楽しむ。音色を試したり、以前ボツにしたメロディを組み合わせてみたりする小さな発見が、次の朝も机に向かいたくなる原動力になります。この「小さな喜び」を積み重ねることが、習慣継続の鍵です。 まとめ 季節が進むにつれて、冬の朝はつい眠気に負けそうになることもありますが、今年のはじめから...

BGMを1曲作るときの流れ

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こんにちは、poco moonです。 今日は私がBGMを1曲作るときの基本的な流れを、実体験を交えながら紹介します。初心者でもイメージしやすいように、ステップごとに分けてまとめました。 1. ジャンル別テンプレートを立ち上げる BGM制作は、まずジャンル別に用意したテンプレートを立ち上げるところから始めます。テンプレートには次のような工夫があります: ジャンルに合った基本的な音色をセット プラグインやトラックの色分けで視覚的に整理 作曲時に迷わず曲に取りかかれる環境を整備 ただし、同じテンプレートを使い続けると曲の雰囲気が似てしまうこともあるので、定期的にアップデートしています。 2. コード進行とメロディで骨組みを作る 曲の骨組みは、ピアノで作ることが多いです。 4小節程度のコード進行を考え、ループさせる その上にメロディを重ねて曲の基本を作る コードとメロディの組み合わせで曲の雰囲気が決まる この段階でじっくり時間をかけることで、曲全体の印象が安定します。 3. ドラムやリズムで大枠を整える 次に曲のリズム部分を作ります。 ドラムやパーカッションを加える 派手なリズムよりも、空気感や心地よさを重視 音の抜き差しや強弱で曲の印象を調整 ここで曲全体の大枠が見えてきます。 4. ハモリや裏メロディで厚みを出す 曲に深みを与えるために、ハモリや裏メロディを追加します。 メインメロディを引き立てるハモリ 聴き手の印象に残る裏メロディ 音色やフレーズを微調整してバランスを整える こうして音の立体感や奥行きが生まれます。 5. ミックスで仕上げる 最後はミックス作業です。私は作曲作業とミックスを同じ日に行わず、日を分けることが多いです。耳をリフレッシュすることで、客観的に音をチェックできます。 各楽器の音量やパンの位置を調整 リバーブやエフェクトで自然な空間感を作る 曲全体がバランスよく聴こえるように仕上げる まとめ テンプレートを活用しつつ、 コード進行 → メロディ → リズム → ハモリ → ミックス の順で進めると、効率よく自分らしいBGMが完成します。 作曲の過程はシンプルに見えますが、音色やフレーズの微調整など、小さな工夫の積み重ねで曲の印象は大きく変わります...

最近の音楽活動について

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こんにちは、poco moonです。 今回は、最近の制作や音楽活動について少し書いてみようと思います。 朝の時間で作曲リズムを整える ここ最近は、朝の時間を活かしてオーディオストック向けのBGM制作を続けています。 朝は頭がすっきりしていて、アイデアも自然と浮かびやすいので、作曲のリズムを整えるにはちょうどいい時間帯です。 小さな積み重ねを大切にしながら、毎日コツコツと新しい音を紡いでいます。 制作した楽曲の公開 制作した楽曲は、週に1回のペースでYouTubeに公開しています。 主にオーディオストック用のBGMや、ストリーミング配信用のインストゥルメンタル曲が中心です。 動画として視聴できる形にすることで、音だけではなく「作品としての世界観」も感じてもらえるようにしています。 多様なジャンルに挑戦 BGMのジャンルはさまざまですが、特に多いのは以下の3つです: コーポレート系 和風 アンビエント どれも自分の中で軸になっているジャンルです。 最近はこれに加えて、クリスマスなどの季節を感じるシーズナルBGMや、ニュース番組のようなミニマルなサウンドも意識して制作しています。 季節の空気や世の中の流れを音で表現するのは難しいですが、その分、完成したときの手応えも大きいと感じています。 クラシックギターのソロ作品にも挑戦 一方で、少しずつクラシックギターのソロエチュードも作り始めています。 自分の手の動きや響きに合わせて書いているので、これまでのBGMとはまた違った感覚で向き合える時間です。 どこかのタイミングで発表できればと思っています。 今の活動の比重と今後 今年はライブの機会が少なく、制作の比重が大きい1年になりそうです。 ステージで演奏する時間も好きですが、今は音にじっくり向き合う期間だと感じています。 ひとつひとつの作品を丁寧に仕上げながら、聴いてくださる方の暮らしに寄り添える音楽を届けていきたいと思います。 これからも、マイペースに、でも確実に歩みを進めていきたいです。 制作の過程や新曲も、このブログで少しずつ紹介していく予定なので、ぜひ気軽にのぞいてみてくださいね。

このブログについて

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こんにちは、poco moon(ぽこむーん)です。 このブログは、私が音楽制作や演奏を通して得た知識や経験を、少しでも多くの方と共有したくて立ち上げました。 ブログの主なテーマ DTM・作曲に関するヒントやコツ 使用している音源やプラグインの紹介、制作の裏話などを掲載します。 初心者の方でも参考になる、曲作りのアイディアやテクニックを中心に紹介しています。 機材レビュー 実際に使っているギターや音源、周辺機材を、クリエイター目線でレビューします。 使い勝手や音の特徴など、制作に役立つ情報をまとめています。 音楽活動レポート 制作中のBGMやリリース情報、ライブの様子などを随時お届けします。 音楽制作の過程や舞台裏も感じてもらえる内容です。 講師としての気づきやレッスンメモ ギター・ウクレレ・DTMを教える中での気づきや、初心者がつまずきやすいポイントをまとめています。 実践的なアドバイスや学習のヒントとして活用できます。 読者の方へ このブログは、音楽制作を始めたい方、機材を探している方、またはBGMやインストゥルメンタルが好きな方に向けて書いています。 記事を通して「音作りの楽しさ」や「表現する喜び」を感じてもらえたら嬉しいです。 これから少しずつ記事を増やしていく予定ですので、のんびりと読んでいただけたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします。

はじめまして、poco moonです

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こんにちは、poco moon(ぽこむーん)です。 このブログでは、私が活動する音楽制作の現場や機材レビュー、日々の音にまつわる発見などを、ゆるやかに発信していきます。 私は作曲家・BGMクリエイターとして活動しており、ここでは音楽制作のヒントや創作の裏側を共有し、皆さんの日常が音を通して少しでも豊かになるような記事をお届けできたら嬉しいです。 BGMクリエイターとしての活動実績 現在、ストックミュージックサービス「Audiostock」に約400作品を登録しています。主に映像音楽やBGM作品を制作し、日常の情景や感情に寄り添うサウンドをテーマにしています。 1. 市場で求められるサウンドの傾向 特に人気なのはコーポレート系(企業向け)と和風のジャンルです。 コーポレート系は企業紹介映像や研修動画で使われることが多く、クリーンでフレッシュな雰囲気を意識して制作しています。4つ打ちのバスドラムを主体に、元気で前向きなイメージを曲に込めています。 2. 効率的な制作のための工夫 制作テーマをあらかじめ決めてから作業に入ることで迷いを減らし、効率的に作品を仕上げています。 また、利用者が使いやすいようにループ版やショート版も作成し、さまざまなニーズに対応できるよう工夫しています。 3. 制作で最も重視している要素 特に重視しているのはプラグイン音源の音色です。ピアノやギターの音色は曲の印象を大きく左右するため、曲の雰囲気に最も合うものを選んでいます。打ち込み技術も重要ですが、音色選びが作品のクオリティを決めると考えています。 講師として音楽の楽しさを伝えています 作曲活動だけでなく、ギター・ウクレレ・DTMの指導も行っています。初心者から本格的に学びたい方まで、音楽の楽しさを一緒に共有しています。 1. 楽器指導で最初に目指すこと まずは伴奏(バッキング)が弾けることを目標にしています。 和音(コード)を正確に弾けるようになることで、弾き語りやセッションを楽しむ基礎が身につきます。これをマスターすれば、次のステップとしてソロ演奏にも自然に進めます。 2. DTM指導で大切にしていること DTMは覚えることが多く、どこから手をつければいいか迷う方も多いです。 まずはメロディを打ち込めることを重視しています。メロディができればボーカロイドに歌わせたり、伴奏を加えてバン...